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Dear Jazz master 教えてマスター

Q66. ID: night_raven さんからの質問
なぜLPやCDのことを「アルバム」というの? 地味な質問ですけど…。

night_raven さん、いらっしゃいませ。シンプルな質問、大歓迎ですよ。
「アルバム」は当店でもっともよく使われる言葉のひとつですね。その意味はLP、CDなどのメディアを問わず、「作品集」のことです。その単数形である「作品」は、「シングル」(盤)です。今では一般的にジャズでは「アルバム1枚が1作品」ととらえられているので、シングル盤はほとんどリリースされませんが、昔はそうではありませんでした。「アルバム」が誕生したのはそんな時代です。

 

1950年代半ばにLPレコード(その名の通りLong Playing=長時間演奏)が普及するまでは、メディアの主流はいわゆるSPレコードでした。SPは78回転/分で片面3分ほどの収録時間しかありませんでしたので、必然的にすべて「シングル」でした。1940年代半ばには蓄音機(SPレコード再生機ですね)が広く普及、それとともに録音技術もどんどん進歩し、またジャズ人気の高まりもあって、多くの「シングル」がリリースされました。でも、ポップスとは違ってジャズの場合は、同一セッションの「シングル」が多数リリースされることが多かったようです(例えば「チャーリー・パーカー・オールスターズ」が3枚とか)。となれば売る方も買う方もそれらがまとまっていた方がいいということなのでしょう、その「シングル」を何枚か集めてパッケージにしたのです。当時の「シングル」であるSPは、いわゆるジャケットは無く、レーベルが見える丸い穴が空いた紙袋に入れられていただけでした。まとめるにあたってどうしたかというと、表紙をつけてその紙袋を綴じるようにしたのです。作ってみるとその姿は写真の「アルバム」のようだったので、その「作品集」を「アルバム」と呼ぶようになったのでした(なお、クラシックの場合は、シングル両面を使っても1曲すら入りませんから、アルバムは必然の結果でした)。

 

説明するより、見る方が早いですね。はい、これが「アルバム」です(マスターの秘蔵品です)。これはアート・テイタムの1940年録音『Piano Solos』「アルバム」。しっかりとした厚紙の表紙(ジャケット)がついていて、中には紙袋が3ページ。つまりSP3枚組で6曲が収録されています。ジャケットを見てみると、そこには「ALBUM」の文字が!

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写真1:「写真アルバム」のように見えるかな?

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写真2:しっかり「ALBUM」って書いてあります。

 

これが「アルバム」の由来です。そしてその後LPが登場して、たくさんの曲を1枚のメディアに入れることができるようになったので、「アルバム」の必要性はなくなったのですが、言葉は残って今日に至るというわけです。このアート・テイタムの「アルバム」も後にLPとなり、さらにCDとなって今も聴けます。収録曲数もずっと多くなっています。「シングル」で聴くとあっという間に終ってしまうから、やっぱり「アルバム」でいろんな演奏をじっくり鑑賞したいですね。余談ですけど、最近は配信だと1曲単位の販売が基本なので、もしかしてジャズの「アルバム主義」も今後は変わっていくのかな?なんて思ったりも。


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