
最近は、若い美人ジャズ・ミュージシャンが多い
こないだ、店の常連さんと「最近は、若い美人ジャズ・ミュージシャンが多いよね」って話になった。実際のジャズ・ミュージシャンの男女比は、ヴォーカルを除けば若い人でも圧倒的に男性が多いわけだが、やはり若い女性は目立つということなのだな。
今回紹介の小林香織もまさにその中のひとり。「カワイイというのも才能のうちだよな。おやじプレイヤーにはちょとかわいそうな時代だね。ハハハ」と常連さんは続けるんだけど、まあ、確かにそうかもしれない。
いきなり脱線だ。でも、小林香織のアルバム『Glow』を一聴してまず思ったのは、まず「女性らしい」ってこと。ジャケット写真見なくてもそう感じる。どういうふうに女性らしいかというのはうまく説明できないんだけど、音楽が華やかでさわやかでやわらかい。
音楽ってその人らしさの表現で、特にジャズ系はそれが強いと思うけど、この音からはすぐさま女性を想像してしまう。マッチョなヒゲづらはイメージできない。
データを見ると、アレンジは大坪稔明(キーボード)で、天野清継(ギター)ら腕の立つメンバーに加え、ロック・ギターの大御所Char(ファースト・ア ルバムではCharの曲をやっていたけど、今度は本人が参加しているのね)、国府弘子(ピアノ)、塩谷哲(ピアノ)が曲によってゲスト参加。
収録曲はオリジナル8曲と、ビージーズの「愛はきらめきの中に」と、トレイシー・スペンサー(R&Bの人です)の「ララバイ・チャイルド」という カヴァーが2曲。幅が広くて、ミュージシャンのつながりも、カヴァー曲の選曲にも、「読み」ができない。これはただただ聴くしかない。
ジャズのイメージを変える"古さも新しさも区別ない"心地よいアーティスト
で、聴きました。サウンドはいわゆるスムース・ジャズにカテゴライズされるものなんだけど、ジャズ、ファンク、ロックなどいろんな要素が混ざっていて、 だからといってとっちらかってはいない。なんかこう自然に全部並んでいるのね。音も曲もメンバーもそう。これはどうだ!というようなところはなく、やりた いことをやりたいようにやりましたという自由な明るさを感じる音楽。
私マスターには80年代フュージョンの匂いもしたことが印象的だけど、これはアレンジャーやバック・ミュージシャンたちのカラーとイメージからなのかな。 で、気がついた。彼女は81年生まれの25歳だから、彼女の存在がこれまでのジャズのもつ世代イメージを変えているわけだね。
彼女の育ったのは豊かな音楽の時代。ジャズもロックもファンクも成熟して、ジャンルも古さも新しさも区別なく並列している時代。だから選んだカヴァー曲 もきっと「好きな曲」というものなのだろう。何でもあるのが自然なのだ。だから素直に音楽が響いてくる。どうしてそれが並んでいるの?とか、何でこの人が ゲストなの?と考えるようなマスターの世代には「読み」ができないのも当然だ(どうしてChar?とか、ね)。
彼女のサイトを見ると、フェイヴァリット・プレイヤーとしてデイヴィッド・サンボーンやメイシオ・パーカー、キャンディ・ダルファーらスターの名前が並ぶ けど、ことさらそれらを意識させるプレイではない。ファンキー・サックスはこうでなければならないといったような、余計なこだわりがないのだ。無理がな い。だからとても心地いいんだな。
念のために付け加えるけど、彼女の腕は確かだ。3歳からピアノ、中学からフルート、高校からクラシックとジャズのサックスを学び、洗足学園音楽大学のジャズ科でサックスを専攻している。
実は彼女が在学中から噂は聞いていた(マスターは顔が広いのだ)。「サックス科に上手い女性がいる、しかもカワイイ」って、また容姿の話にもどってしまったけど、「ジャズ・アイドル」大いにけっこう。
正直に言うと最初のアルバムを聴いたとき、一般的にアイドルというだけでフィルターがかかってしまうと思うんだけど、いまどき容姿だけで立て続けに3枚もアルバム出せないよね。
関係者にきくと、デビューしてわずか3ケ月の23歳のステージで堂々とソロ演奏を披露し、まったくプレッシャーを感じることなくアドリブを重ね、オーディエンスはもちろん共演した経験豊かなミュージシャンまでをも魅了したそうだ。美人だけではない実力派ミュージシャンの証だ。 聴けば伝わるでしょう、やはりいい音楽はいい音楽なわけで、聴く人に響けばそれでよいのだ。
春の訪れにマッチしたアルバムだね、元気な気分になるね。もう一度聴いてみる?