
マーカス約2年ぶりの新作。来たねー。 どれどれ、宣伝文句は「約2年間のツアーを共にしたミュージシャンらとのバンドサウンドを基調にし、様々なゲストを迎えた話題作」か。まあ、聴いてみましょう。
いや~コレ、体感温度上がるね。ちょっとクーラー効かせましょう。...勢いがあるから一気に聴いてしまった。でも、聴き終わるとなんかずーっとマーカスのベースが耳に残っているね。コリーヌ・ベイリー・レイ(ヴォーカル)やデイヴィッド・サンボーン(アルト・サックス)らゲストも、通して聴くと「そういえば、いたなぁ」ぐらいにマーカスのベースの印象が強烈だ。ベース出過ぎなのかって? まあ、はっきり言ってそうだね。ベーシストがリーダーのアルバムなんだから、もちろんこれでいいのだけれど、ふつうのバンドでこんなにベースが前に出ていると、かなりバランス的に危ういはず。でもマーカスが作ったマーカスのための音楽だから出てて当然。出ているからカッコいい。そういうサウンドなのだね。
どの曲も強烈なファンク・グルーヴに揺さぶられて、どんどん熱くなってしまうんだけど、スーパー・テクニックに唖然とするのもまた正しい反応だったりもするね。コレどうなってるの?とベーシストじゃなくても驚いてしまうフレイズもいっぱい出てくる
マスターのお気に入りはラストの「ホワット・イズ・ヒップ」。これはファンク・グループ「タワー・オブ・パワー」(TOP)の70年代のヒット曲のカヴァーで、今もファンク・クラシックスとして聴き続けられているTOPの代名詞的な名曲・名演だ。TOPはバリトン・サックスを含むホーン隊と、独特のグルーヴを作るリズム隊のからみが最高にファンキーなんだけど、マーカスは真っ向から挑戦したね。これぜひオリジナルと聴き比べてほしいなあ。これは「曲」のカヴァーというよりも、「バンド」のカヴァーなんだ。
TOPはフランシス・ロッコ・プレスティアのベースが速い指弾き(指2本ね)で独特なグルーヴを出しているんだけど、マーカスは同じ16分音符のフレイズをスラッピング(親指1本)でやっているのね。しかもテンポはTOPより速く。TOPのもうひとつの特徴はスティーヴ・クプカのバリトン・サックスが、ここぞというところで「バブッ!」と一発くることなんだけど、マーカスはバス・クラリネットで入れている。ソウルフルなヴォーカルの代わりはデイヴィッド・サンボーンだ。そして、ここでオルガンを弾いているのはなんとチェスター・トンプソン。つまりオリジナルで弾いている「本家」なのだった。
TOP への挑戦と思ったけど違った。これは愛だね。「オレはもっとすごいのができる」というのではなくて、「カッコいいオレ流が出来ましたが、これも先輩のおかげです」という感じ。対比することで両方のおもしろさが見えてくるものね。って、これはすばらしいプロデュース・ワークだなあ。さすがマーカス。出過ぎているのはベースの音だけじゃなかった。センスもね。