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VICTOR JAZZ CAFE

2006年12月

noon『Holy Wishes』 2006年12月

2006.11.08 VICJ-61394

作品詳細はこちら(別ウィンドウで開きます)
Artist Review アーティストレビュー

 当店の今月のオススメアルバムはヴォーカリストnoonの『Holy Wishes』。常連客のみなさんにはnoonはもうおなじみですね。これはタイトルからわかるようにクリスマス・アルバム。noonが歌うのだからもちろんジャズ・アレンジされたもの。バックのメンバーの名前がたくさん書いてあるけど、みんないっしょに演奏しているわけではなく、各曲のアレンジはいたってシンプル。noonの素直な声をじっくりと楽しんでもらおうということかな。歌い方はジャズジャズしてないから、ジャズになじみが少ない人にも聴きやすいね。

彼女のプロフィールは彼女のサイトを見ていただくことにして、さっそく聴いていきましょう。コーヒーお待たせしました。

 その前に、クリスマス・アルバムってとにかくたくさんあるけど、みんなどういう聴き方してるのかな。12月のデートのBGMかなんかにしてるの? あっ ちゃんどうなの? レコード店に行くと年中クリスマス・アルバム・コーナーがあるし、クリスマス・アルバム・コレクターもいるぐらいだから、「クリスマス」というくくりは音楽ジャンルを超えたものがあるよね。「音楽的に気合いを入れて」というのとは一歩離れたものが多いから、割とミュージシャンの「素」 の姿が見えたりしておもしろいよね。
  まあ商売柄、マスターはジャズ・クリスマス・アルバムだとけっこうマジメにジャズとして聴いちゃうんだけど。

 このnoonは選曲が面白い。「大定番」クリスマス・ソングと、ジョージ・マイケルとジョニ・ミッチェルの曲がある。古さと新しさかぁ...と思って 作家名を見たら、実はちょっとした発見があってさ。クリスマス・ソングってどれも大昔からあると思ってて今まであまり気にしたことがなかったんだけど、有 名曲でもけっこう新しい曲なのね。マスターやってるのに不勉強で恥ずかしいんだけど...。あっちゃん知ってた?「ホワイト・クリスマス」を書いたのはアーヴィング・バーリンなんだよ。あっちゃんの好きなスタンダード「リメンバー」とか「チーク・トゥ・チーク」を書いた人。「ザ・クリスマス・ソング」は、ジャズ・ヴォーカルの大御所メル・トーメだったのね。なんて思ったら急にクリスマス・アルバムじゃなくてジャズ・スタンダード・アルバムに思えてきたとい うわけ。そういえばビル・エヴァンスが普通のアルバムに「サンタが街にやってくる」を入れているのがあるだけど、あれはやっぱりスタンダードとして入れていたのかな。

 なんて言っているとなかなかnoonに行かない。ごめんなさい。では1曲目からかけます。

TRACK LISTING
1.ザ・クリスマス・ソング

これは定番中の大定番クリスマス・ソングなんだけど、1946年のナット・キング・コールの大ヒット曲なのね。ジャズ・ヴォーカリストのメル・トーメが作曲している。60年前というとあっちゃんには古い曲に思えるだろうけど、ジャズ・スタンダードになっている曲に比べると全然新しい。noonはギ ター1本をバックに歌っている。noonらしい飾らない歌い方がいいね。

2.ハヴ・ユアセルフ・ア・メリー・リトル・クリスマス

これまた有名だけど、もともとは1944年公開のミュージカル映画『Meet Me In St. Lewis (若草の頃)』の音楽。映画ではジュディ・ガーランドが歌って、1963年にはフランク・シナトラがとり上げてヒットしたんだって。

3.サイレント・ナイト(きよしこの夜)

これだけはもとが賛美歌。1881年に書かれた歌だけど、ビング・クロスビーが1935年に特大ヒットを飛ばした。つまり、これも一般にはヒット・チューンということ。ジャジーなアレンジはめずらしくないけど、noonは後半を日本語で歌っていて、ちょっとびっくり。

4.ラスト・クリスマス

1984年「ワム!」(ジョージ・マイケルのいたグループ)の大ヒット。この曲はマスターはリアル・タイムのリスナーなんだ。当時ものすごくヒットしたの を覚えている。だからクリスマス・ソングというよりもヒット・ポップスという感じだね。発表から20余年、もう昔の曲だ。

5.ホワイト・クリスマス

アーヴィング・バーリン作詞・作曲。1942年公開のミュージカル映画『スイング・ホテル(Holiday Inn)』のために書かれ、出演した(これまた)ビング・クロスビーが歌って大ヒット。その後リメイク映画『ホワイト・クリスマス』も作られ、さらにヒッ トしたという知らぬ人のいない有名曲。なにせ史上2番目に売れたシングル盤。1億枚以上だって。

6.リヴァー

意表を突いてジョニ・ミッチェルの曲。歌詞にクリスマスがでてくるけど特にクリスマス・ソングというわけではないよね。ジョニ・ミッチェルのオリジナルは1971年の『ブルー』に収録されている。こういう曲を持って来るセンス、好きだなぁ。

7.ホワット・アー・ユー・ドゥーイング・ニュー・イヤーズ・イヴ?

これはアメリカのミュージカルや映画音楽の大ヒット・メイカー、フランク・レッサーの1947年の曲。レッサーの曲もたくさんジャズではとり上げられてい る。あっちゃんの好きな「オン・ア・スロー・ボート・トゥ・チャイナ」や「セイ・イット」がそうだよ。でもこんな曲があったとは知らなかった。これってタ イトルどおり「大晦日と元旦ソング」なのね。マスターはクリスマス・ケーキよりは年越しソバやおせちの方が好きなんだけど、この歌が入ったことでこのアルバムが急に好きになった。ぐっと年末年始感(なんて言葉があるのか)が深まるね。あ、当店は年末年始も営業してます。

 と、まあ全曲聴いてきましたが、「定番」クリスマス・ソングって、トラディショナル・ソングというわけではなくて、ほとんどが大ヒット・ポップ曲なんだね。つまりほとんどがオリジナル・アーティストがいるということ。それを多くの人がとり上げていくうちに、いつしか元のアーティストの色がなくなっ て曲だけが残ってきたと。スタンダード化するというのはこういうことかと改めて思ったわけ。普遍的で魅力ある曲だから残ってきたということ。そう考えると クリスマス・ソング集といっても、ジャズにしてるんだったらスタンダード・ジャズ・アルバムと同じだよね。クリスマスって書いてあるからといってシーズン に1回聴いておしまいじゃあもったいないし、いいものは何度でも聴きたい。

というわけで、クリスマス・アルバムは通年聴けるかどうかが善し悪しの分かれ目、というのがマスターの結論。ジャケットにも季節感が出過ぎるとダメだな。でもこのシンプルでさりげないnoonなら年中聴ける。CD店の人は他のサンタ柄のアルバムと一緒に年明けに返品しないでほしいね。
それと、音楽とは関係ないんだけど、CDのオビの裏にプレゼントの告知がある。なんかうれしいよね。当たるかな。僕はビンゴ当たんないだよ。
  コーヒーもう一杯どう?

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