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第2弾 音のこだわり「マスターのスタジオ見学記」 第3回
2005年1月7日
音のこだわり 「マスターのスタジオ見学記」
第3回 「いい音なんて・・・存在しない!?」
・
第1回 「スタジオとは何をするところなのか?」
・
第2回 「レコーディング・スタジオでは何が起こっているか」
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第3回 「いい音なんて・・・存在しない!?」
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第4回 「いい音楽をおいしくいただくために」
ヴォーカリストはソファでくつろぐ
録音スタジオ見学の最後は、303スタジオ。ここはヴォーカル・ダビングをメインにしている小さなスタジオだ。「小さな」といっても401スタジオなど他と比べてということで、ヴォーカリストがひとりで使うにはとても広い。
大きなソファ、流し台、さらに姿見まであるというスタジオらしからぬ設備と内装。マイクとデジタル・ピアノがなければまるでホテルの一室のよう。ヴォーカリストが気持ちよくリラックスして歌えるようにと、とても配慮されているが、素人目に見ても、狭いブースで歌うのとはまるで違ったものになるだろうと容易に想像できる。ヴォーカルこそ環境は大切。もちろん広さや響きはヴォーカルのことを考えて設計されているし、機材もヴォーカル向けに用意されていた。
オーディオ機器の"接続ケーブルの違いで音が大きく変わること"をご存知だろうか?見学時にセットされていたマイクには、音の性格の違う2種類のケーブル(アクロテック社製と古河電工社製のケーブル)が写真の通り、何本も使い分けられるようになっていた。このスタジオの音創りのこだわり、音の追求の場の提供の姿勢が伝わってくる。
さらに、そのマイクのケーブルはコンソールを通さず、ヘッドアンプに"直結"できるようになっている。接点を少なくすることはオーディオの「いい音」の基本であるが、普通はなかなかこうはいかないらしい。スタジオは効率も考えなくてはならないのも運営側の課題でもあるからだ。しかし、とにかくここは「こだわり」の部屋なのだ。さぞや「いい音」(ここでは「いい声」)が録られるのだろう、と思ったところで秋元氏が説明する。
「このニーヴ(Neve社)のヘッドアンプは、ヴィンテージと呼ばれるかなり古いものなんですが、これを使うとヴォーカリストの人はみんなすごくいいと言ってくれるんですね。でも実際の特性は特に優れているわけではないのです。音を作る上での<いい音>というのは特性の問題ではないのです」
「・・・??」では何なのだろう。
「万人にとっての<いい音>は存在しないのです。結局は好みですよね。ミュージシャンが<こういう音にしたい>とこだわった音、そしてその思いが伝わる音がいちばん<いい音>なのではないでしょうか」
なるほど。スタジオは音を作るところなのだ。意図した音を意図したとおりに録音できることが「いい音」で録音するということなのだ(再生する上での「いい音」については次回で)。
前回、スタジオで大切なものは機材よりも「人」と紹介したが、実は大切な機材もある。それはこのヘッドアンプやマイクのようなヴィンテージの機材だそうだ。それらは最新デジタル機材では出せない独特な音があるのだが、古いアナログ機材だけにメンテナンスがたいへんということで、置いているスタジオはたいへん限られているということである。
超個性派集団FLAIR
さて、続いてはマスタリング・スタジオへ。
ビクタースタジオのマスタリングのセクションは「FLAIR(フレアー)」という名前がついている。CDのクレジットでFLAIRのロゴを見る機会も多い。廊下壁面に飾られたCDジャケットを見るとその広い活躍ぶりがわかる。
FLAIRの特徴は、選りすぐりの7人のエンジニアがそれぞれ「自分の部屋」でマスタリングを行なうこと。各スタジオは機材やレイアウト、内装はもちろん床の材質やタイルの色にいたるまで部屋の主であるエンジニアがこだわりをもって決めたもので、個性的な部屋ばかりでだった。ふたつとして同じものがない。スタジオ常備のコーヒーが気に入らないからと自分専用のコーヒーメーカーが置かれたスタジオまでまである。どこも一目で「こだわり」(過ぎ?)が感じられる。仕事場も音の創造の始まりだ。
FLAIRのサイト
にはエンジニア全員の写真とプロフィールが載っている。みんな個性的だ。エンジニアの紹介でここまで詳しく紹介している例は他に知らない。まるでミュージシャンのようだ。
そう、ミュージシャン。前回書いたように音楽作りはミュージシャンとエンジニアの共演なのだが、マスタリングはその最終セッションである。ここで誰を共演者に選ぶかで最後の音が決まる。
FLAIRエンジニアは、例えば「ジャズならこの人」というそれぞれの得意ジャンルを持っている。しかし意外なことに、作品リストを見ると、「SMAP」「国府弘子」「村治佳織」「布袋寅泰」と、どれも全然違う音楽が並んでいる。 自分の好みとは別にどんな音楽にも対応できる技術があるのだ。そしてスタジオにはそれらのミュージシャンからの感謝のメッセージが書かれていたりする。 大事なのはまさに「人」。ここでは「感性」が勝負どころなのである。FLAIRにはその姿勢がはっきりと打ち出されている。
さて、スタジオは個性的でみんな違うと紹介してきたが、実は全部のスタジオでひとつだけ同じ機材を発見した。それはこのサイトでも紹介しているビクターの
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だった。それはなぜだろう??
<次回に続く>
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